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2022年 コラム詳細

2022/07/01
少林寺拳法における「身体づくり」について No.3

古人は、「息調うときは心調う、心調うときは息調う、息は即ち心、心即ち息である。」と訓えています。古くから息を調えることが修養の第一とされ、仏教では禅定の要素となり、道教では入神の秘法として用いられ、武道・芸道の基礎ともなり、治病保健の妙法としても重く用いられています。

少林寺拳法では、道場での毎回の修練において、技法の修得のみにとどまることなく、心を安静させることにより、自分の内面と向かい合うために調息法を行っています。

調息法は、立位から着座し、背筋を伸ばした正しい姿勢で半跏趺坐となり、目を軽く閉じ(瞑目)ます。そして、鼻呼吸を原則とし、①静かに長く深く息を吸う(吸気) ②息を少しフムと漏らす(漏気) ③胸腹部に息を充満させる(充気) ④ゆっくりと細く長く七分吐く(呼気) ⑤三分息を残して止める(残気) という順序で調息を一呼吸20秒~30秒で行い、呼気に戻って繰り返し行います。

呼吸は、胴まわりを全体がふくらむ腹式呼吸(順式)で行います。調息により、上半身の力を抜き、肩や腕の脱力をはかり、脳の血行を良くし、意識を統一させます。

少林寺拳法では、座禅のように半眼で調息をせず、目を軽く閉じ(瞑目)て調息をします。その理由は、半眼で行うと眼の前にあるものに意識が囚われるので、目を軽く閉じて調息を行います。その際、頭のなかでは色々な事が浮かんで来ますので囚われないようにしなければなりません。頭のなかに浮かんで来たことを「浮かばないように、浮かばないように」と思わず、浮かぶままにすることで消えていきます。

そのためには、調息に意識を集中することが大事です。禅宗で言う数息観です。
「手足身かたく覚えたその術は、心はさらに要らぬものなり」(不動智神妙録」という境地にいたる方法が調息法です。

合掌:童心